『眠れる応接室の王子様』



 水泳の後の社会の授業という状況で私が迷うことなく睡魔に降伏して数分経ったとき、ポケットの中で携帯が震えた。メールだから無視してしまおうかとも思ったけれど、これのおかげで睡魔は何処かに消え失せてしまったし、かといって授業を聞く気にもなれないのでこっそり携帯を取り出して開く。――――恭弥からだ。

『放課後すぐに応接室に来て』 

腕時計を見ればもう授業終了5分前。にやけてしまいそうな気持ちを抑えながら携帯をポケットに仕舞って窓の外を眺めたり、教室の床を見たりしてみるけどなかなかチャイムは鳴らない。はやくはやくはやく…

キーンコーンカーンコーン… 

先生が挨拶をして教室を出ると同時に鞄に荷物を詰め込んで今にも駆け出したくなる気持ちを抑えて担任を待つ。しばらくして担任がやってきて明日の連絡とかをしているけれど、私の頭の中は恭弥でいっぱいだった。
「それじゃあ帰っていいぞ」
その言葉と同時に教室を飛び出す。呼吸を整えてから応接室のドアを軽くノックしてみる。が、返事がない。不思議に思いながらそっとドアを開くと
「恭弥…?」
ソファで眠っていた。よく転がり落ちないなぁ。
「恭弥ー?」
そっと名前を呼んでみてもぴくりとも動かずただ規則的な寝息が聞こえるだけ。自分から呼んだくせに寝ているとはどうなんだろう、と思うけど恭弥だから仕方ないということにしておこう。おかげで滅多に見られない寝顔を見ることができたのだし。
 こうして改めて見てみると意外と子どもっぽい顔してるなぁ、かわいいな、とかまつげ長いな、とか、肌白いな、とか色々わかってなんでかどきどきしてきた。それからなんとなく恭弥に触れたくなってほっぺたをつついてみたり、髪を梳いてみたりしてたんだけどそのうち、きす、してみたくなってきて恭弥の唇に自分のを重ねてすぐに離れた。
 そのときいきなりぐい、と頭の後ろを押されて恭弥ともう一度キスしてしまった。びっくりしていたら恭弥の目がぱちりと開いて意地悪そうに細められた。だまされた…。
「…っ……んんっ……」
何とか離れようと恭弥をぐっ、と押してみてもびくともしない。じたばたもがいていたら頭を押さえる手の力が強くなって恭弥の舌が口に入ってきて私の舌を弄ぶ。
「っ……狸寝入りなんて卑怯っ…」
「別に狸寝入りじゃないよ。それより寝ている間にキスするなんて今日のは大胆だね」
意地悪な笑みを浮かべながら恭弥は起き上がってソファに座りなおすと私の腕を引っ張った。
「うわっ」
 そのままぎゅっ、と抱きしめられて恭弥の足の間に膝立ちする格好になる。何とか抜け出そうと手足をばたばたさせても背中にまわされている恭弥の腕はびくともしない。
「まだ逃げる気なの?いい加減諦めなよ」
恭弥は溜息をつくと耳を甘噛みして舌を這わせた。
「ひゃっ…」
 私が声を上げると恭弥はまた意地悪な笑みをうかべて口付け、恭弥の舌が私の口の中を荒らして、逃げる私のに絡んだ。
「んっ…っ…………」
長いキスが終わって頭がくらくらしてきて恭弥の胸に倒れ込むと恭弥はブラウスのボタンを器用にも片手で外し始めた。
「やっ、ちょっと恭弥っ」
「何?」
「何って…やっ」
 反論しようとしたら恭弥は露になった私の肌をぺろ、と舐めて強く吸った。それを何度か繰り返して痕を眺めて満足そうに笑うと下着を外して右胸を手で揉み、一方を舌で愛撫し始めた。足ががくがくしてきて恭弥にしがみつく。
「んっ…やぁっ…………」
「ここはどうだろうね?」
胸の愛撫に気をとられていたらいつの間にか背中を支えていた恭弥の右手が腰の辺りまで下りてきていて下着をおろすと入り口を軽く掻き混ぜた。
「やぁっ……」
「もうぐちゃぐちゃだよ?やらしいね、…」
「っ…いわないで…」
耳元で囁かれて羞恥のあまり恭弥の首元に顔を埋めたら恭弥の長い指が中に入れられた。
「ひゃあっ……あっ…やっ…………」
「すごいね…」
「あっ、だめ……ひゃっ…」
くっ、と指を折り曲げられたり引っ掻かれたりしてその度にびくん、と身体が跳ねる。
「はっ………きょ、も、だめっ……」
そう言って恭弥に抱きついたら突然指を抜かれた。
「はぁ、はっ……きょ…やぁ……」
「ね、…どうしてほしい?」
私ので濡れた指を舐めて意地悪な笑みを浮かべながら恭弥が耳元で囁く。
「え、そんなっ…」
「じゃああげないよ?」
「で、でも………」
「ほしくないの?」
太腿を撫で上げられて身体が震えだす。
「………き、きょ、やの………ほしい…………」
「…いいよ」
カチャカチャ、とベルトを外す音がして腰を掴まれたと思ったらそのまま下ろされて突き上げられた。
「ひああっ…あっ…やっ…」
「っ、そんなにほしかったの?こんなに僕のを締め付けてるけど」
「やっ、あっ…も、だめっ」
「じゃあちゃんと言ってごらん?」
そう耳元で囁かれて耳に舌を這わされて頭がくらくら、した。
「きょっ、や…いっしょ、に……いきたっ……」
「いいよ」
妖艶な笑みを浮かべて恭弥が律動を早める。部屋の中に響くいやらしい音と耳にかかる恭弥の息で中が疼いた。
「あっ、やっ…んっも、だめ……きょ、や」
「っ…っ……」
奥を突かれて恭弥のを締め付けると中に熱いものが注がれた。
、愛してる」
「…私、も」
そう言うと恭弥は優しい笑みを浮かべて私の頭を撫でると触れるだけのキスをした。


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