「眠……」
ここ数日立て込んでいた部活の用事が今日終わり、一気に今までの疲れが出てきたせいか、酷く眠たい。
しかし丁度三日前から両親は旅行中なので、何とか眠気を追い払って食事を済ませ、お風呂に入った。(あれ?お風呂の準備なんてしてたっけ…?)
しかし疲れのせいか頭はまともに働かず、そのままいつも通りに入浴し、自分の部屋に向かった。
朝が早かった為、布団はそのままにしてあった。しかし…
「やあ」
何故此処にいらっしゃるのですか、風紀委員長様。
「き、恭弥…?」
「これから寝るんでしょ?」
「そうだけど」
「ならそんな所に立ってないで早くこっちに来たら?」
今まで勝手に家の中に入られた事は数回あったが、こんなのは初めてだ。突然の出来事にとまどう私を余所に、彼はぽんぽん、と自分の隣を示す。
「あ、うん…じゃなくて。此処私の部屋だよ?」
危うく彼のペースに流されそうになったが、何とか踏み止まる。
「そんなのわかってるよ」
しかしさすが並盛中風紀委員長にして不良の頂点に君臨する男。そんな事などお構いなしだ。
「それよりほら、寝ないの?」
「……寝る」
それ以上の追求を諦めて、布団に入る。
「、よく頑張ったね」
恭弥が優しい笑みを浮かべて私の頭を撫でる。私にしか見せないその表情で。私はただ、彼のシャツをいつものようにきゅっ、と掴んで胸に顔を埋める。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
彼の香りに何処か安心した私は疲れのせいもあって、すぐに眠りに就いた。
「全く、無防備なんだから………愛してるよ、」
彼の呟きを彼女は知らない。