『永遠』を信じない。
11月に入り風が冷たくなってきて、街が少しずつクリスマスっぽくなってきた。
そのせいか、教室では女の子達が雑誌を広げながらきゃいきゃい騒いでいる。何かと思い、ちらりとその記事を覗けば「もうすぐクリスマス!」と書かれた大きな見出しが見え、彼女達はそれを指差しながらああでもない、こうでもない、とお喋りをしていた。
どうして「今」がずっと続くなんて信じられるのだろう。まだそれまで一ヶ月もあるのにどうしてそれまで自分も相手も心変わりしないなんて保障があるだろう。(いやないだろう、と反語っぽくしてみたり)まあそんなことを言ったら彼女達はものすごい勢いで怒り出すのだろうけど。
恭弥と私も二人きりのときはそのへんのお付き合いをしている男の子と女の子と同じように、恭弥は私のことを抱きしめて「好きだよ」って言ってくれる。私が「ずっと?」って聞いたら恭弥は「ずっと。」って答える。
だけど、ほんとうにずっとつづくの?
世界には私より「きれいなひと」とか「かわいいこ」がいるし、時が経てば絵の具は色褪せ、華は枯れてしまうのに、どうしてずっと好きだなんて言えるのか私にはわからないよ、恭弥。
放課後になり、いつものように私は応接室のドアをノックして恭弥の返事を聞いてから中に入った。
「やあ、。もう少しでキリがつくからそこに座って待っててよ」
「うん」
しばらくして恭弥は立ち上がり、こちらにやってきて私の隣に座るといつものように私を抱きしめた。
「恭弥」
「何?」
「あたしのこと、好き?」
「好きだよ」
「ずっと?」
「ずっとだよ。」
「……わかんないよ」
きゅ、と恭弥のシャツを掴む。
「どうしてずっとなんて言えるの?明日がどうなるのかもわからないのに、どうしてそんなことが言えるの?ねぇ、どうして?」
ぽろぽろと涙がこぼれて私のスカートではじけてじわりと滲む。
「……………、僕は」
恭弥の右手がすっ、と振り上げられて思わず身を縮めたら、優しく頭を撫でられた。
「毎日のことが好きだ、って言ってあげる。いや、むしろ―――――」
愛しているよ、と恭弥の声が耳元で聞こえた。
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